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お葬式の豆知識
「告別式のみの家族葬」とは？通夜をしない家族葬の流れを解説
2025年03月07日
近年、大勢の弔問客を招かず、家族やごく親しい方々だけで見送る「家族葬」が注目を集めています。中でも、通夜を省略して告別式のみを行う形式が増え、費用や準備の負担を抑えたい方に選ばれています。
本記事では、告別式のみの家族葬の具体的な流れやメリット・注意点を丁寧に解説し、ご遺族や参列者が安心して式に臨めるためのポイントを詳しくご紹介します。
家族葬とは
家族葬は名前のとおり、家族やごく親しい知人のみを中心として執り行う葬儀形式を指します。大規模な一般葬と比べて参列者数が少ないため、故人との最後の時間を落ち着いて過ごしたいと考える方に選ばれています。
特に近年は高齢化や核家族化の進行に伴い、葬儀に求める規模やサービス内容が多様化してきています。通夜を省略し、告別式のみを行う家族葬もその一形態として注目を集めています。
家族葬の基本的な特色
家族葬は、参加する人数を絞ることで式の進行をゆっくりと進められる点が大きな特徴です。
また、家族や故人に近しい方が中心となるため、形式より心のこもったお別れを重視する傾向にあります。大勢の弔問客に対する対応や会場の手配などを簡略化できるため、費用・労力の両面で負担が軽減される点も魅力です。
通夜を省略する理由
もともと通夜には、親族や近しい人が故人と最後の夜を過ごし、別れの準備を整えるという意味合いがありました。しかし家族葬では参列者数が限られているため、必ずしも通夜と告別式を二日間かけて執り行う必要がないと考える人も増えています。
さらに葬儀全体の時間を短縮することで、遺族や参列者の負担を抑えることが可能になります。特に高齢の方が多いご家庭や遠方から集まる場合など、通夜を省略することで体力的・経済的な負担が軽減できるメリットがあります。
告別式のみの家族葬の流れ
ここからは、通夜を行わず告別式のみで執り行う家族葬の具体的な流れをご紹介します。一般的な葬儀の流れと大きく変わりませんが、通夜の準備を省いている点が特徴です。
受付と参列者入場
告別式当日、会場へ到着した参列者には受付で名前を記帳してもらい、香典を受け取るのが通例です。しかし家族葬では参列人数が少ないこともあり、受付を設けずに直接対応するケースも少なくありません。
受付がある場合は、喪主や手伝いの方が中心となって対応し、スムーズに式を進行できるよう準備を行います。参列者が落ち着いて席に着けるよう、案内や誘導にも気を配っておくと安心です。
開式の挨拶と僧侶の入場
開式時間になったら、喪主または司会担当者が参列者へ一礼し、告別式の開始を伝えます。続いて僧侶が入場し、所定の位置につくことで式の厳粛な空気が高まります。
このタイミングで、喪主が一言挨拶を述べることも多いです。挨拶の内容はあまり長くならないようにし、故人への思いと参列者への感謝の言葉を伝えるとよいでしょう。
読経と参列者による焼香
僧侶による読経は多くの場合、式の中心となる儀式です。読経の間、参列者は手を合わせて故人を偲び、静かに耳を傾けます。家族葬では読経の時間を長めにとり、身内で故人を送る大切なひとときとするケースも見受けられます。
読経が一区切りすると、焼香や献花の段階に入ります。参列者は喪主・遺族の順に焼香を行い、故人への思いを胸に心静かに手を合わせるのが一般的です。
僧侶の退場と喪主の挨拶
焼香が終わった後、僧侶が法話を述べる場合があります。法話では故人との思い出や人生観に触れることが多く、残された者が故人をしのぶための大切な時間です。
法話終了後に僧侶が退場し、喪主が改めて感謝の挨拶を伝えることで式の流れが締まります。ここで通夜がない旨や今後の流れを案内し、参列者に安心感を持ってもらうようにしましょう。
お別れの儀と閉式
お別れの儀では棺を開けられる場合もあり、参列者が故人の顔を見て最後のお別れをするといった時間を設けます。遺族や近親者が中心となって思いを伝え合い、静かに祈りを捧げる流れです。
その後、閉式のアナウンスが行われ、告別式が正式に終了となります。閉式時には、式への参列に対して感謝の意を述べるほか、この後の火葬や法要への流れを簡潔に説明すると親切です。
出棺と火葬場への移動
告別式が終わると、棺を霊柩車へ移す出棺の儀式を行います。多くの場合、すぐに火葬場へ向かう場合がほとんどですが、地域や式場の構成上、少し休憩を挟むケースもあります。
このタイミングでは、遠方から来ている参列者への配慮も必要です。参列者が戸惑わないようスケジュールを事前に明確に伝えておきましょう。
火葬と骨上げ
火葬は法律上、死亡から24時間以上経過していなければ行えません（「墓地、埋葬等に関する法律」より）。告別式のみの家族葬では、通夜を行わない分、時間計画を立てやすいメリットがあります。
火葬後に遺骨を骨壺へ納める「骨上げ」は、皆で故人を送り出す重要な過程です。遺族の意向や参列者の状況に合わせて、落ち着いて行えるよう準備しておくことが大切です。
繰り上げ法要と精進落とし
最近では、告別式直後に初七日などの法要をまとめて行う「式中初七日」や「繰り上げ法要」が行われることが一般的です。特に時間や費用を抑えたい場合、式の合間や火葬後すぐに読経をしてもらうケースが増えています。
その後の会食としての精進落としは、参列者をねぎらう機会ですが、省略することも可能です。会場で食事を用意しない場合はお弁当や手土産を渡すなど、臨機応変な対応を検討しましょう。
通夜を省略するメリット
通夜なしの家族葬が注目を集めるのは、理由がいくつも存在します。ここでは特に大きなメリットをご紹介します。
費用面でのメリット
通夜と告別式を通常2日間で行う場合、会場費や飲食の準備、返礼品の手配など複数日の料金が発生します。通夜を省略すると、それらの分を大幅に削減できることが大きな魅力です。
また規模が小さいと、お布施や祭壇の簡略化などの形で総額を抑えやすくなります。遺族の経済的負担を軽くしながら、必要な式をきちんと執り行えるのが特徴です。
遺族の負担軽減
通夜と告別式の両方を準備するとなると、精神的にも体力的にも大きな負担がかかります。事前準備、参列者への説明、移動手段の確保などが二重に発生するためです。
通夜を省略することで、短期間で葬儀を進めることが可能となり、遺族の疲労を軽減できます。特に高齢者が喪主となるケースでは、時間や労力の節約が重要なポイントです。
参列者の負担軽減
遠方から来る場合や平日のスケジュールが合わない方には、通夜と告別式の両方に参加するのは難しいこともあります。告別式だけであれば、参列者の日程調整もしやすくなるでしょう。
特に、仕事や家庭の都合を考慮する必要がある場合、告別式が1日だけならば気軽にスケジュールを組めるメリットがあります。結果として、多くの方が無理なく参列しやすい式となるでしょう。
告別式のみの家族葬の実践的なアドバイス
通夜を省略する家族葬を円滑に進めるためには、いくつかのポイントを押さえておく必要があります。以下では、参列者への周知や香典、会食の扱いなど、実践的なアドバイスをまとめています。
参列者への周知
通夜を行わない旨をきちんと伝えておかないと、「通夜にだけ参列しよう」と考えている方が混乱する可能性があります。家族葬で告別式のみを行う場合は、訃報連絡の際に必ず通夜をしないことを明記しましょう。
特に、親族や親しい友人間での共有を早めに行うことが重要です。日程や場所、会場の詳細を事前に連絡しておけば、参列者側の準備もスムーズに進められます。
香典の受け取りと辞退
通夜がない場合でも、告別式のみで香典を受け取ることは珍しくありません。用意する香典返しや会葬御礼品については、事前に数を把握しておき、過不足が生じないようにしましょう。
逆に、香典を辞退するケースも増えています。辞退する場合は、弔問に来ていただいた方へのお礼や感謝の気持ちが伝わるよう、口頭・文面でしっかりと説明しておくと誤解を招きません。
会食の省略・代替方法
家族葬の多くは小規模であるため、通夜振る舞いといった会食の時間を設けない場合もあります。告別式を1日で終える場合にはスケジュールがタイトになりがちなので、食事のタイミングを見つけにくいのが実情です。
そのため、折詰や手土産で対応することで、参列者の負担を抑えつつ気持ちを伝えられます。会食を希望する親族がいるなら、火葬中の待ち時間などを活用して簡単に済ませる方法を検討しましょう。
一日葬と直葬の違い
通夜なしの家族葬と似た形式として、一日葬や直葬があります。どちらも「できるだけシンプルに葬儀を行いたい」という方に選ばれており、それぞれに特徴や流れが異なります。
一日葬の特徴
一日葬は通夜を行わず、葬儀・告別式と火葬を1日で済ませるスタイルです。一般的に、家族や親しい人々のみが参列し、故人との別れをしっかりと行う点で家族葬と似ています。
ただし、式のスケジュールが集中するため、時間管理が非常に重要です。告別式と火葬を同日に行うため、寺院や式場の予約、さらに参列者への案内がスムーズになるよう準備しておきましょう。
直葬（火葬式）の特徴
直葬は通夜・告別式を一切行わず、火葬だけで故人を見送る最もシンプルな形式です。費用が最も抑えられる一方で、宗教儀礼を行わず、故人とゆっくりお別れする時間がないというデメリットもあります。
最近では、「お別れの会」を後日行う形で直葬を選択する例も見受けられます。家族や親族の都合や故人の意思を踏まえたうえで、どの形式を選ぶか事前の話し合いが欠かせません。
家族葬の柔軟な対応例
家族葬は参列者数が少ないぶん、融通を利かせることができるのも利点です。実際にはどのように柔軟に対応できるのでしょうか。ここでは2つの例を挙げてご紹介します。
参列者が少ない場合の進行例
参列者が限られた家族や親友だけの場合、一連の式次第をよりシンプルにまとめることが可能です。受付や読経の時間を短縮し、焼香も一度にまとめて行うなど、実情に合わせた進め方ができます。
具体的には、献花のみでお別れを行うといったスタイルも広がっています。故人の好きだった花を用意して一人ひとりが手向けることで、より個性的な葬儀にすることも可能です。
精進落としの省略
精進落としを省略する場合は、お茶菓子や軽食程度で済ませる、あるいは香典返しのみで対応するといった方法があります。小規模だからこそ、後日改めて親族だけで集まり、思い出を語り合う時間を設けるという選択もできます。
また、火葬中に簡単な会食を済ませるケースも見られます。葬儀社や式場によっては準備や段取りを手厚くサポートしてくれますので、事前に相談してみるとよいでしょう。
まとめ
通夜を省略して告別式のみを行う家族葬は、遺族と参列者の負担を軽減しながらも、故人をしっかり送り出せる点が大きな魅力です。家族葬の在り方は多様で、それぞれの事情に合わせて柔軟にアレンジできるのが特徴といえます。
- 家族葬は親族や近しい人だけで執り行い、落ち着いてお別れできる
- 通夜を省略して告別式のみ行うメリットには、費用と負担の軽減がある
- 参列者や遠方からの訪問者には、事前の十分な周知が重要
- 一日葬や直葬など、よりシンプルな形式との違いも知っておくと安心
- 柔軟な対応を考慮し、参列者と遺族双方の負担を最小限に抑える
告別式のみの家族葬を検討する際は、まず信頼できる葬儀社や親族と十分に相談し、参列者の都合や費用面を考慮して最適な形式を選びましょう。
